経営者お役立情報
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《経営者お役立情報》2017年7月10日
伸びてる会社が採用面接で志望動機を聞かないワケ
いろいろな社長とお話をしていると、「うちはどんな人でも入社すれば、育てる自信があるので選びません」とおっしゃる人がいます。しかし、残念ながら、やる気のない社員や基本的な能力のない社員を育てるのは大変ですし、考えが合わない人の考えを変えさせることはもっと大変です。
伸びてる会社は、社員教育よりも社員の採用にすごく力を入れています。熱意、時間、お金、準備、あらゆる面から採用を大切にしています。上手に採用するコツは、採用活動を「会社が選ぶ場ではなく、会社が選ばれる場」と考えることです。
面識ない人から「ボクのどこが好きですか」と聞かれたら?
採用活動というと、応募者にいろいろな試験を課したり、面接で志望動機や長所・短所を質問したりして、ついその応募者が「どんな人物なのか」を探ろうとしてしまいます。
しかし、求人広告を載せたものの、自分たちの会社の情報がほとんどない場合、「なぜうちの会社を志望したのですか」と聞かれても応募者は答えようがありません。聞かれたほうは一応の答えを用意しているかもしれませんが、本音は「給料が他社よりいいから応募した」「家から近いから応募した」「どこでもいいから応募した」のいずれかでしょう。
知らない会社に志望動機を聞かれることは、会ったことも話したこともない人から「ボクのどこが好きですか」と聞かれるようなものなのです。
こんな失敗をしないために、採用活動では応募者がどんな人なのかを探るのではなく、自分たちの会社がどんな会社なのか、そしてどんな人に入社してほしいのかをできるだけ分かりやすく、できるだけくわしく伝えてください。会社説明会でも面接の場でも、自分の会社のことを説明しまくるのです。自社のホームページには無制限に情報を載せられるのですから、応募の検討を意識した情報を充実させることも必須です。
当事務所の場合
少し、私の事務所のケースをお話しさせてください。
私の事務所では、弁護士を採用する場合、どのような人を採用したいのかということをまず明確にします。
そしてそのような人に響くような情報を発信します。
今回は、採用活動専用のウエブページ(http://saiyo.mirai-law.jp/)を作成し、チームで働くという協調性を持ちながらも、とにかく熱量の大きい人に来てもらいたいというメッセージを発信しています。
採用活動の場面においても、他の事務所が概ね
・専門分野、取扱分野
・1年目の給料など勤務条件
・勤務時間や休暇日数
などを説明しているのに対し、私たちは
・「どんな分野の仕事をするか」より「どんな人と仕事をするか」
・「初任給がいくらか」より「5年後にどんな価値を生み出す人になるか」
・「仕事が忙しいか」より「仕事に熱中できるか」
が大事だ、などと熱く、熱く語りかけます。
こうすると、司法試験に合格した修習生たちはみなインテリですから、多くの人たちは「なんだか変な事務所だな」と私たちの前を素通りしていきます。しかし、ほんの何人かの修習生は「おもしろそうな事務所だな」と感じて、応募をしてくれるのです。
そして、応募をしてきてくれる人たちは毎回数名ですが、「どの人も採用したい」と思えるほど、事務所の考えにマッチした人たちばかりなのです。
採用活動は、応募してきた履歴書の枚数を競い合うコンテストではなく、自分たちが求めるたった1人(ないしは数名)と出会うための活動なのですから、何人の応募者があったかなど、全く気にする必要がありません。
中途採用はあえて「未経験者優遇」
あなたの会社は、中途採用そする場合、経験者を優遇し、即戦力として期待していませんか?
しかし、そこには大きな失敗につながる罠が潜んでいます。
なぜなら、能力があって人柄もよい上、あなたの会社と同じ仕事を経験してきたような人材は、中途採用の市場にほとんど出回らないからです。勤めていた会社が倒産したとか、家族の都合で引っ越すことになったなど、前の会社を退職せざるを得ない明確な理由があった場合は別ですが、そうでもなければ今いる会社でも高い評価を受け、満足して働いている可能性が高いので、転職を考えることはありません。
ですから、あなたの会社で高いパフォーマンスを発揮する人材を採りたければ、ポテンシャルの高い未経験者を採用を考えるべきです。能力があって人柄のよい人でも、それまでの仕事内容が自分に合っていなかったという可能性はあるからです。
どうしても営業は苦手なので事務職に転職したいとか、逆にお客様との接点のないプログラムの仕事ばかりでなく、客先に出向きたいなど、能力と人柄に申し分がないのに、以前の会社での仕事内容がマッチしなかった場合には、あなたの会社の仕事とマッチして、高いパフォーマンスを発揮する可能性があるのです。
採用活動は「選ぶ場」ではなく「口説き落とす場」
日本は少子高齢化の影響で、今後労働力人口は減少の一途をたどることが確実で、会社にとって人を採用すること、特に若い人を採用することはますます困難になります。
ですから、面接は応募者の品定めをする場ではなくて、会社がほしいと思う応募者を口説き落とす場だと考えてください。
実際に、最近では上場企業でも、最終面接には社長が同席し、会社のビジョンを学生たちに熱く語るなどして内定を出し、他社に学生が流れないように「あなたと一緒に働きたい」という熱意を伝えています。
本日のポイント
・教育より採用に力を入れる
・採用は選ぶ場でなく選んでもらい、口説き落とす場
・どのような人を採用したいのかをはっきりさせる
・会社の考えや社長の人柄、求める人物像を発信しまくる
・中途採用は未経験者を優遇する